フリーランスの報酬減額・未払いトラブルと対策【業務委託契約書無料サンプルあり】

報酬トラブルで頭を抱える

こんにちは。Webデザイナー えぬです。
この春でフリーランスWebデザイナー3年目となります。

キンプリの元メンバーもパニック障害とのことで話題となりましたが、私もいまだにパニック障害と適応障害とうつの三拍子。
雇用で出勤して働けないためフリーランスになり、概ねよかったですが、100%いいことばかりだとも言えませんでした。
特にたまにある報酬トラブルは頭が痛い、というか精神的に打撃を受けます。
先日もちょっと色々あったので、解決策や対処法を調べていました。
今後や報酬トラブルで悩む方の参考になればとまとめておきます。

トラブル事例

実際にあったケースが以下の通り。制作会社の下請け案件でした。

クライアント(法人の制作会社A、40代男)「見積もりの依頼」(作業詳細はなく、継続的なLP制作というざっくりとした依頼)

フリーランス「見積もり金額」返信(どんな内容か分からず相場よりちょっと高めに出した)

クライアント「予算がないので、見積もり金額の半分くらいでお願いできないか」

フリーランス「依頼内容の詳細によっては可能」

後日詳細(複数あるうちの一番簡単なやつ)が送られてくる
それを見て、最初の見積もりの半分くらいの金額で受注
契約書、着手金や報酬の前払いなし

1ページ目作業
クライアントの確認と修正を複数回行う

次のページ以降が見積もり額だと割りに合わないため、
フリーランスから見積もり額のアップorキリの良いところで終了を申し出る

クライアントの合意を得て、作業したページ数分のみ請求することで終了となる

月末、単価×作業ページ分の請求書発行

数日後に
クライアント「作業したデータを使わないことになったし、予算が足りないから半額にしてくれないか」という連絡を受ける

データ使わないことになったのはおそらく請求書発行後と思われ、クライアントの気持ちもわかりますが、半額(当初の見積もりの4分の1)はきついですね。

対策(作業前)

作業前に契約書をかわす

下請けの場合はフリーランス側から言い出しにくいのですが、契約書をかわしておくとリスクの軽減になります。
Web制作で下請けしていると、大体お仕事の依頼は契約書面を交わすことなく口約束からスタートします。
これまで口約束で対応してきた既存の取引先に、いきなり「契約書にサインしてください」とは実際難しいと思います。
もちろん口約束でも契約自体は有効ですが、何かトラブルが発生するのは大概契約書がないケースです。
途中で案件がなくなった場合や不慮の事故など万が一のことが起こった場合に、契約書がないよりあったほうがこじれずに納得いく結果を導けるのが明らかです。
そもそも、発注と受注・法人と個人・元請けと下請けでは法律上対等だとしても、現実は全く対等ではありません。
後述しますが、力の弱いフリーランスという立場では結構なめられます。
何か問題が起こった時に制作会社がフリーランスに責任を押し付けるといったことも、報酬の払い渋りをすることも、契約書があれば多くは回避できます。(取引先がつぶれた場合ではどうしようもないですが)
自分を守るため、お互いのためにコミュニケーションとって、先に契約書をかわす習慣にしていきたいです。

ということで、Web制作フリーランス向けの契約書ひな形を用意しました。
クライアントから提示される契約と違って、フリーランス側に有利な項目がいくつかあるのでサインしてもらえるかは相手次第ですが。。
契約書サンプル(PDF)

報酬の一部を前払または着手金振込確認後に作業開始

不払い防止策として、報酬の一部を前払または着手金を振込んでもらうことが有効です。
契約書にも記載しておきます。
全額前払いが難しいなら、総額の半額を手付金でもらうなどの方法で、相手に譲歩しながらも少しでももらえる状況を作ります。
「振り込んだ」と言われても実際支払われていない可能性もあるので、必ず振り込みを確認後に作業開始するようにします。

対策(作業後)

連絡する(なめられないようにする)

報酬不払いや減額の相談であっても、冷静な文面で対応することが大事です。
もっとも重要なのは、

  • 嫌なことははっきり断る!
  • もう仕事もらえないかも。。など忖度しない
  • 毅然とした態度をとる

上記の事例では、はっきり減額請求を断ったところ、無事請求書の期限内に振り込まれたので何よりでした。

特に女性一人のフリーランスは下に見られやすいというのは、トラブルがなくとも感じるところです。
Web業界も地方では男性の方が多いですから、女というだけで甘く見られるということはよくあります。
男女格差156か国中120位の国なので、日本社会特有の“生きづらさ”からは日本に住んでいる限りどこに行っても必ずあると思います。

内容証明郵便を送る

上記の事例では不要でしたが、メールや電話などのやりとりで解決できなかった場合の手続きについて。

内容証明郵便とは、郵便局の窓口で手続きすることによって送付できる郵便のことです。
内容が郵便局に保存され、相手へ送達したことも証拠として残りますので、様々なトラブルで活用される連絡手段です。
メールや電話、通常の郵便では「見ていない」「捨てたかも」「受け取っていない」「聞いていない」などの言い訳をされることがあります。
言い訳できないよう、しっかりと証拠が残る方法で催促することが望ましいです。

裁判所を使った支払督促

支払督促は裁判所の手続きで、裁判所にしてもらう督促です。
内容証明でも督促ですが、同じ督促でも効果はかなり違います。

支払督促は、裁判所から送付されますので、相手は「裁判所から通知が来た」と驚くことになります。
心理的な圧迫感や、恐怖感はフリーランス個人からの督促の比ではありません。裁判所を介することでますます話がこじれる可能性もあります。
また、支払督促は、異議の申立期間内に異議がなかった場合、即座に強制執行をすることができるという強力な効果があります。
個人の手に負えない、金額が60万円を超える場合は使えるかも。

少額訴訟

少額訴訟は60万円以下の被害にしか使えませんが、手続きが簡単なので、フリーランスが使う訴訟としては適しています。
下記のようなメリットがあります。

  • 弁護士を立てなくても良い
  • 費用が安い(1〜2万ほど)
  • 判決がでるまでが早い(審理は1回でその日のうちに終わるのが原則)

少額訴訟を行うために必要なものは、

  • 訴状
  • 登記事項証明書(相手が法人の場合)
  • 証拠(見積書、請求書、契約書、メール文のコピー、電話の録音データ)

少額訴訟の流れは以下の通りです。

  1. 訴状を被告の住所を管轄している簡易裁判所に提出
  2. 裁判所から審理日の連絡がくる
  3. 事前聴取を行う(書類や証人を準備)
  4. 被告が答弁書を提出する
  5. 審理日に判決が下される

どうしても報酬を回収できなかった場合

内容証明郵便や少額訴訟でも回収できなかった場合は、その報酬を経費にできる可能性があります。
業績悪化によって取引先に会社更生法や民事再生法が適用された場合は、規定によって切り捨てられた金額を、その事実が生じた事業年度の経費(損金)の額に算入することができます。
それ以外に、「事実上の貸し倒れ」があった場合も、貸倒損失処理ができます。
つまり、「金銭債権の全額が回収不能となった場合」で、それが明らかになった事業年度において貸倒損失として経費(損金)に計上することができます。

減額や不払いの主な原因

  • 単に忘れてた、請求書処理の漏れ
  • クライアントのクライアントが払わない、支払いがまだ
  • フリーランスの作業、成果物に不満や疑問
  • 請求書の不備

まとめ

以上、フリーランスの報酬トラブルについてまとめました。
フリーランスは雇用と比べると、自由度が高い反面、労働基準法など働く者を守ってくれる法律はありません。
おまけに、制作だけしてれば良いのではなく、営業から売上回収までが仕事です。
自分でできる防衛策をとってストレスを少なく、フリーランスしていきたいものです。
エージェントなどを経由して仕事を獲得すると、フリーランスと雇用のいいとこ取りな働き方ができるかもしれません。